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2024年03月14日

ドルテグラビルに対する耐性は問題となるのか?
Will dolutegravir resistance become a problem?

写真
Dr George Bello at CROI 2024. Photo by Roger Pebody.

CROI 2024では、世界で最も広く使用されている抗レトロウイルス薬の1つであるインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルに対して、HIVが耐性を獲得し始めているかどうかについて、いくつかの発表があった。WHOのガイドラインでは、ドルテグラビルはHIV治療の一次および二次治療の基礎となっている。

ドルテグラビルに対する著しい耐性はまれだが増加しており、小児を含む特定の集団は耐性を起こしやすいようである。

マラウイのLilongweにあるInternational Training and Education Center for HealthのGeorge Bello博士は、ドルテグラビル治療を9ヵ月超受け、ウイルス量が1,000を超えた2~14歳の小児302名を対象とした研究について発表した。

アドヒアランスについてのカウンセリング後、小児169名はウイルス抑制を達成した。残りの133名は薬剤耐性検査を受け、4分の3が少なくとも1つ耐性変異を有し、65.5%は非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)に耐性があり、42%は核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)に耐性があった。16%のみが、重要なインテグラーゼ阻害剤(INSTI)変異を有していた。プロテアーゼ阻害剤(PI)変異は5%とまれであった。

成人よりも小児のほうがリスクが高いことを示唆したもう1つの研究は、レソトで行われた。この大規模コホートは大部分が成人で、NNRTIベースのレジメンからテノホビル、ラミブジン、ドルテグラビルの合剤錠(TLD)に切り替え後にウイルス量が増加した患者の一部は耐性検査で適格とされる。

切り替えた15,299名中151名が適格とされ、78名が実際に耐性検査を受けた。このうち、8名(10%)のみにドルテグラビル耐性があったが、2名は9歳と7歳の男児であった―小児が3%未満のコホートでは、ドルテグラビル耐性があった人の25%であった。

さらに、成人を対象とした2つの研究が行われた。ケニアでは、TLD治療を受け、ウイルス量が200を超えた55名から耐性検査のために検体を採取した。44検体の耐性検査結果は妥当なものであったが、このうち8検体(14.5%)にドルテグラビル耐性変異が認められた。

これとは対照的に、ザンビアとマラウイで行われた研究では、TLDから切り替えた2,833名のうち、著しいドルテグラビル耐性を示したのは2名のみであった。

もしINSTIによる二次治療が失敗した場合、どのような治療の選択肢があるだろうか? 南アフリカでの研究では、PIベースの二次治療レジメンが失敗した人々を調査した。355名中234名にPIに対する耐性変異があった。このうち133名はドルテグラビルに切り替え、101名は三次治療のPIとされるブーストしたダルナビルに切り替えた。

ブーストしたダルナビルへの切り替えは、ドルテグラビルへの切り替えと同程度に有効であった。ドルテグラビル投与群89%、ダルナビル投与群92%が、PI耐性変異があったにもかかわらず、12ヵ月時点でウイルス検出不可の状態を維持していた。このことは、ブーストしたダルナビルは、二次治療のINSTIレジメンの効果がなくなった人に対する救済療法となる可能性を示している。

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